李禹煥(リ・ウーファン)は1956年に来日し、「もの派」の先駆けとして美術界に新しい風を吹き込んできました。
ここでは李禹煥の経歴や代表作品・売却のコツについて解説しています。
李禹煥の経歴
李禹煥は1936年、大韓民国慶尚南道で誕生しました。1956年にソウル大学校美術大学を中退し、来日。1961年には日本大学文理学部哲学科を卒業しています。
1968年頃から本格的に画家活動を始め、同年発表の「事物から存在へ」が美術出版社・芸術評論募集に入賞し知名度がアップ。1971年に評論集『出会いを求めて』を出版。国内外の美術界に大きな影響を与えました。
李禹煥が作品を作り上げる上で最も重要視している言葉に、「関係項」があります。これは彼自身が立体作品の包括的なものとして、1970年代以降採用してきた言葉です。
「あらゆるものは世界との関係性によって成立し、それのみで存在するのではない」という意味が込められています。「関係項」の考えは李禹煥の作品に多く取り入れられており、彼は自身の生きる姿勢とも重ねてきました。
李禹煥は独特の感性を生かし、韓国と日本・東洋と西洋・実践と理論・絵画と彫刻など一つのものを様々な角度から見る方法を模索。その瞬間に生まれた緊迫と均衡を作品で表現してきました。
2010年には香川県直島町に初の個人美術館である李禹煥美術館が開館。さらに2015年に釜山市立美術館敷地に2館目の個人美術館李禹煥ギャラリー(Space LeeUFan)を開き、ベルサイユ宮殿で特別展を開くなど、今でも表現の場を広げています。
李禹煥の代表作品
李禹煥の作品スタイルは、当時の現代美術に大きな影響を及ぼした「もの派」が有名です。主な代表作は「点より」「線より」シリーズです。
「点より(1977年)/リトグラフ」は「線よりⅡ(1981年)/エッチング」と並び、李禹煥の平面作品を代表するシリーズです。点が並んでいるようにしか見えませんが、よく見ると濃淡の変化をつけている点が特徴。単調な中にも、李禹煥のこだわりが見える逸品です。
また「筆より(1973年)/リトグラフ」や「Correspondance(2012年)/オフセットリトグラフ」などキャンバスの空間を大きく意識した作品も数多くあります。
他にも、「ワイン・ラベル/シルクスクリーン」や「照応(2002年)/銅版画」などの作品も有名ですね。
李禹煥のリトグラフや版画、シルクスクリーンの絵は一見何を描いているのか分からない作品も多いと感じるでしょう。しかし李禹煥自身、以下のような言葉を残しています。
“理路整然と整理ができて、ちゃんと先が分かっているようなものは、アートにはならない。無意識、狂気、混沌、矛盾――。人間は面白いことに、そういったものが作用しながら出来上がっているものを面白がる”
2017年にあるトーク番組で李禹煥が残した言葉です。形なきものに向き合い、未知を模索する上で思いがけず生み出された作品こそが、李禹煥の味わいとなっています。
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近年、世界各地でモダニズムが注目されている影響で、李禹煥が描く「もの派」の価値は高まっています。
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