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安田靫彦（やすだ ゆきひこ）は法隆寺金堂壁画の模写を行った人物として有名です。作品は切手にも採用されているため、馴染みのある人も多いかもしれません。
ここでは安田靫彦の経歴や有名作品について解説します。
安田靫彦の経歴
安田靫彦（本名：新三郎）は1984年、都内にある料亭・「百尺」の四男として生まれました。1897年、帝室博物館で法隆寺金堂壁画等の模写を見て感動し、画家への道を考えます。
1898年より小堀鞆音に師事し、仲間を集めて紫紅会を結成。当時通っていた美術学校を中退し、本格的な画家活動を始めます。
地道な活動が思想家の岡倉覚三に認められ、1907年に日本美術院に招かれるまでに。公益財団法人日本美術院が主催する院展には初回から作品を出品し、絵画の発展に尽力しました。
1912年には第6回 文展で「夢殿」が二等賞受賞。数多くの展覧会への出品を行い、1934年には帝室技芸員となります。
帝室技芸員は戦前の宮内省によって運営されており、日本の優秀な工芸家や美術家のみが与えられる称号です。昭和に入ると、安田靫彦の知名度はさらに上昇。
1965年東京芸術大学名誉教授となると、東京国立博物館評議員会評議員や文化財審議会専門委員、国立近代美術館設立準備員なども歴任しました。
晩年になると、法隆寺壁画保存調査員として金堂壁画の模写に参画するなど、後世に残るような大きな仕事が増加。主に金堂壁画の模写をメインに活動をする傍ら、「卑弥呼」「飛鳥の春の額田王」など古代人物の絵を描くことに興味が沸き、そちらにも熱中していたといわれています。
1978年に94歳で逝去。約80年に渡る画業を終えました。2011年には生前、14年かけて作られた「黄瀬川陣」が国の重要文化財に指定されるなど、逝去後もなお注目度の高い画家です。
安田靫彦の代表作品
引用：独立行政法人国立美術館
安田靫彦は日本画家・前田青邨と並ぶ歴史画の大家で、ともに焼損した法隆寺金堂壁画の模写にも携わりました。
多くの作品は郵便切手にも採用され、国民にとって比較的親しみのある画家といえるでしょう。特に有名な作品に、国の重要文化財に指定された「黄瀬川陣」があります。
「黄瀬川陣（1940年）/日本画」は生き別れた兄・源頼朝のもとに、義経が駆け付けた時のシーンを表現。鎧兜や装束、武具もしっかりと調べたうえで描かれており、「日本画の描写と表現力に確信を与えてくれた」と当時の新聞が絶賛するほどでした。
また版画では「紅梅青花壺/木版画」や「曙梅/木版画」が有名。どちらも梅の花が細かく丁寧に描き込まれており、季節の訪れを知らせる生命力に溢れています。
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